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宙を漂っていると、彼が赤い顔をして。
抱きついてきた。
「あ、アレルヤ?!」
突然のことに目を丸くさせる刹那。
そんな刹那に構わず、アレルヤは刹那を抱きしめる。
マフラーに顔を埋め。
ようやく瞳をあわせたと思ったら、今度はキス。
何があった。
硬直する刹那は、口移しで伝わってきた香りに納得した。
「酒、か」
「うん。飲んできちゃった」
えへへ。
といとも簡単に笑ってみせるアレルヤ。
随分と上機嫌のようだ。
出撃前は不安な顔をしていたから、どうなるかと心配したのだが。
彼の表情からは陰りなど一切見れない。
刹那は抱きついてくるアレルヤに、仕方がないとため息をついた。
そして、肩をぽんぽんと叩く。
「飲みすぎだ、アレルヤ」
「だーいじょうぶ」
「第一、未成年だろ」
「僕は今日で二十歳ー」
「…誕生日?」
「うん!」
にっこりと満面の笑顔でアレルヤは頷く。
にこにこ。
にこにこ。
にこにこ。
満面の笑顔で無言の重圧を加えられ、刹那は息を呑んだ。
「…おめでとう」
「も一回!」
「誕生日、おめでとう。アレルヤ」
「ありがとう、刹那」
そしてアレルヤは刹那の額にキスをする。
ああ、なんて酒臭い。
自覚すればよくわかった。
刹那はアレルヤの少し癖のある髪を撫でた。
「そっか、二十歳か」
「刹那はまだまだ、子供だね」
「煩い」
「しかも、童顔」
「アレルヤ!」
「そんな刹那が、大好き」
一撃必殺の無垢な笑顔で言われ、刹那はうっとまたも息を呑む。
こいつに酒を飲ませたのは誰だ。
そんなことを恨みながら、刹那はアレルヤを抱きしめる。
ふわふわと宙に浮かぶ二人の姿。
「誕生日だよ、僕が、生まれた日」
「ああ、そうだな」
「生まれたんだね」
苦笑するアレルヤの瞳には、涙が滲んでいるようで。
ようやく正気に戻ったのか。
そんなことを思いながら、刹那はアレルヤの瞼にキスを落とした。
「生まれてくれて、ありがとう」
「…刹那?」
「もう言わない!」
ぷいと背を向けてしまう刹那に、アレルヤは慌ててついていった。
ふわふわと、二人の手は繋がれたまま。
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