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見つけた。
見つけた。
ロックオンは楽しそうに、笑い小さな後姿にぶつかる。
「せーつな!」
「煩い」
「うわ、瞬殺」
笑うロックオンに背を向けたまま、刹那は宇宙空間を漂う。
昨日のクリスマスパーティから一夜明けた今日。
結局、あれからスメラギたちまで乱入してきて凄い騒ぎになった。
ロックオンの用意もむなしく、酒も飛び交った。
ロックオンは昨夜のことを思い出しながら、刹那の隣に並んだ。
「昨日、渡しそびれたものがあってさ」
「何だ?」
「俺からの、プレゼント」
「昨日のケーキだろ?」
「違うって」
笑ってロックオンは刹那の頭に何かを乗せる。
何事かと思ってみれば、それはマフラーだった。
自分がいつもマフラーをしているからだろうか。
そんなことを思いながら、赤いマフラーを手に取る刹那。
「お前の目にあうマフラーって、無いな」
「は?」
「綺麗だから、適当に選んだ」
刹那の真紅の瞳に、ロックオンは笑う。
「俺の目と、何が関係ある」
「いや、たんに俺が刹那の目が好きだってだけ」
ロックオンは笑う。
刹那の目は綺麗だ。
とても、綺麗である。
その瞳に惹かれた。
力強く。
死さえも恐れない、瞳。
戦うだけの、刹那。
それでも時折見せる、優しげな瞳が好きだった。
「刹那の目って、綺麗だよな」
「俺は嫌いだ」
「そうか?」
「…これは、血の色だから」
人の血を吸い取ったような、色だから。
呟く刹那にロックオンはため息を落とす。
そして、刹那の小さな頭を叩いた。
マフラーを強く握り締める刹那の指は、白くなっていた。
「あ、そういえば」
「何だ?」
「刹那からのクリスマスプレゼントは?」
「何で?」
「いや、何でって、俺が欲しいから?」
ロックオンの惚け顔を刹那は黙殺する。
おいていかれたロックオンは、刹那の後姿に慌てて歩み寄った。
「冗談だって」
「冗談に聞こえない」
「そうか?」
「ああ」
刹那からの適切な言葉に、思わず笑みを零してしまうロックオン。
確かに、プレゼントが欲しくないといえば嘘になる。
だが、自分だってもう大人だ。
それぐらいの分別は。
「24?」
「え?ああ、俺は24だけど」
年齢にはっとしてロックオンは答える。
刹那とは8歳も年齢の離れている自分。
なんだか、プレゼントを欲しがっている自分は幼くて。
苦笑するロックオンに、刹那は一目向けた。
そして、仕方がないとため息を一つ。
「大人の癖に」
「悪かったですね」
瞬間、刹那がロックオンに口付けた。
「え?」
「…煩い」
「今のが、プレゼントとか?」
「嬉しくないか?」
「いや!全然!もう一回!」
「消えろ!」
耳まで真っ赤に染めた刹那に、ロックオンは笑う。
その後姿が愛しくて。
唇に触れた温もりが愛しくて。
暖かい。
なんて、なんて。
ロックオンは刹那を後ろから抱きしめた。
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