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聖なる夜に。(○・四人)

ハッピーハッピークリスマス。
聖なる夜に、何をしようか。
三人は差し出されたプレゼントに首を傾げた。

「何の真似だ、ロックオン」
「何だ、これ?」
「今日、何の日だっけ?」

口をそろえて言う三人に、ロックオンはため息をついた。
こいつらはこんなことも知らないのか。
そういうようなため息一つ。
敏感な刹那とティエリアは不愉快そうに眉を寄せる。
ただ、アレルヤだけは不思議そうだった。

「今日は、クリスマス」
「クリスマス?」

刹那の問いかけに、アレルヤがポンと手を叩いた。

「そっか、地球時間では今日がクリスマスなんだ」
「クリスマスなんて、懐かしいな」

プカプカと宙に浮く赤い包装紙に包まれた箱に、ティエリアはため息をつく。
戦争の中に生きていれば、クリスマスも忘れる。
ましてや、ここは宇宙だ。
地上にいればそれなりのクリスマスムードを感じ取れるが、ここではそうはいかない。
納得する二人に対し、刹那はまだ首をかしげていた。

「クリスマス?」
「要するに、皆でプレゼント交換してぱーっと盛り上がろうって話」
「そうなのか?」

ロックオンの解説に眉を寄せる刹那。
ティエリアが仕方がないと付け足した。

「クリスマスとは元々、昔にあったキリスト教の誕生日のようなものだ。あとから他の奴らが色々付け足して、今の形になったらしいがな」
「良い子にしかサンタは来ないんだぞ」
「サンタ?」
「真っ白い髭を生やしたおじいさん。そりに乗ってプレゼントを配るんだ」

アレルヤが補足する。
刹那はとりあえず頷き、手元にあるプレゼントを受け取った。

「で、これはそのプレゼントなのか?」
「ああ、それは、ミス・スメラギから俺たちに」
「俺たちに?」
「因みに俺はこれ貰った」

早々と箱を開けていたらしいロックオン。
見れば、首元には輝く十字架のネックレスがかかっていた。

「十字架なんて、ミス・スメラギも良い趣味してるよなー」

笑うロックオンに、それぞれ手元の箱を見る三人。
そして、静かにあけ始めた。
ぱりぱりと紙がはがれる音が静寂に響く。
やがて、一番先に声を発したのはアレルヤだった。

「僕のはブレスレットだ」

銀色にきらめくブレスレットにアレルヤは瞳を輝かせる。
こんなもの、地球に下りたときでないと購入できない。
しかも、最近では地球に下りる機会も少なく購入が難しくなっていた。
嬉しそうに笑うアレルヤの隣で、ティエリアは無言でプレゼントを見ていた。

「ティエリアは何だったんだ?」
「本」
「らしいな」

どうやら持っていなかった本らしく、ティエリアは内容を吟味している。
本は昔からあるものだが、最近では電子化が進み本を見るのは久しぶりなのだろう。
しかも、内容は随分と昔のものらしかった。
ティエリアが投げ捨てないのも頷ける。
そんなことを考えていると、刹那が一人困ったような顔をしていた。

「どした?刹那」
「いや、俺の…」

沈黙にプレゼントを覗き込むロックオン。
そして、思わず苦笑した。

「良い趣味してるけど、食べきれないわな」
「だが、やらん」
「ひでえ」

刹那の箱の中には大きなチョコケーキが入っていたのだ。
クスクスと笑うロックオンに無言で顔を背け、刹那は箱を閉じる。
甘党だと、いつからスメラギにばれていたのだろう。
そんなことを思った。

「まあ、刹那がそういうのは俺も初めからわかってたわけで」
「は?」
「俺からもクリスマスプレゼント」

見れば、テーブルの上に布のかかった何かが乗っていた。
集まる三人の前で、ロックオンは布を取る。
そこには、丸いケーキが一つとグラスが四つ。
そして、ご丁寧にもシャンパンが置いてあった。

「勿論、ノンアルコール」

楽しげに笑うロックオンに、三人は顔を見合わせる。
その後、クリスマスパーティが密やかに開始されたのは別の話。
そして、その騒ぎを見つけたスメラギたちが乱入するのは数分後のことである。

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