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プレゼントが欲しい。
「ねえ、ティエリア」
「何だ?」
「昨日、クリスマスだったね」
「そうだな」
淡々と言葉を返すティエリアは、昨日貰った本を黙々と読んでいる。
その姿に微笑を零しつつ、アレルヤは小さな箱を取り出した。
「忘れてたのは悪かったというか」
「別に、お前が気にすることじゃないだろう。アレルヤ」
「うん。それもそうだね」
苦笑しながらアレルヤはティエリアに歩み寄った。
そして、座るティエリアの横に座る。
赤い箱が一つ。
小さな箱を、アレルヤはティエリアに差し出した。
「これ、僕からの」
「俺に?」
「うん。昨日、急いで取り寄せたんだ」
ティエリアは一旦本にしおりを挟むと、渡された箱を手に取った。
パカッと良い音が鳴る。
見れば、中には銀色の指輪が入っていた。
「いや、ネックレスとかブレスレットだとスメラギさんと被るかなって」
「だからって指輪はないだろう」
「そう、かな?」
苦笑するアレルヤにティエリアはため息を零す。
しかし、貰って嫌なものではない。
どことなく、心が暖かくなった。
ティエリアはゆっくりと指輪を取る。
そして、まずは人差し指にはめてみた。
ところが、はまらない。
「お前、何号で買ったんだ?」
「え、適当に」
アレルヤらしい回答にため息をつきつつ、ティエリアははまる指を捜す。
すると、その指輪はすっぽりと薬指にはまった。
右手にはまった指輪に、アレルヤは嬉しそうに笑う。
「ぴったりだね」
「場所が微妙だけどな」
薬指を光にかざすティエリア。
ティエリアの指は細い。
ピアノでも習っていたかのように、丹精である。
綺麗な指に、アレルヤは自分の手を重ねた。
そして、ゆっくりと指輪を抜き取った。
「アレルヤ?」
「右手ではまるなら、こっちでも大丈夫かな?」
「え?」
アレルヤはティエリアの左手を取ると、その薬指に指輪をはめた。
ぴったり。
指輪は、離れることを許さないようにはまる。
細く綺麗な指にはまる、シンプルなデザインのシルバーリング。
「お前…」
呆れるティエリアに、アレルヤは嬉しそうに笑った。
「皆の前では外しても良いから」
「当然だ」
「そっか」
ティエリアは耳を真っ赤にさせながら答える。
その表情が愛しくて。
指先が愛しくて。
アレルヤはティエリアの指先に口付ける。
その口付けに答えるように、ティエリアはアレルヤに口付けた。
「来年は、俺から送ってやる」
「…楽しみにしてるよ」
でも、期待はしてない。
笑うアレルヤに、ティエリアはため息交じりの笑みを零した。
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