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ロックオンの指は、綺麗だ。
刹那はゆっくりとロックオンの指を握り締めた。
「刹那、刹那」
「何だ?」
「くすぐったい」
笑いながら、ロックオンは言う。
それでも、刹那はロックオンの指を見つめていた。
そして、労わるように優しく撫でていた。
少しこそばゆい、くすぐったい、感触。
指の裏を通る、刹那の幼い指に悪寒が走る。
「気持ち良いかも」
「変態」
瞬殺され、ロックオンは苦笑を零す。
でも、気持ち良いものは仕方が無い。
刹那の指は、幼くて。
あどけなくて。
それでも、どこか強くて。
か弱くて。
矛盾に満ちた指だから、愛しい。
「本当、お前の指は謎ばっかりだよな」
「お前の方が、俺はわからない」
「まあ、一番わからないのはティエリアだろうけど」
そういえばティエリアも綺麗な指をしている。
不意にロックオンは思った。
そんなロックオンの心境を読んだように、刹那はロックオンの指をつねる。
「いてえ!」
「余所見をしていた」
「…何処を見ろと?」
刹那は口ごもる。
仕方が無い。
そんな刹那が愛しくて、ロックオンは大人しく刹那を見つめた。
柔らかそうな髪の毛。
刹那の、優しい指先。
見とれていると、不意に刹那が口を開いた。
「ロックオンは、綺麗な指をしている」
「そりゃ、スナイパーですから」
狙った獲物は逃がさない。
「狙撃者は、指を大切に扱うんだよ」
ロックオンは自分の指を慈しむように撫でた。
そして、刹那の指を手に取った。
「指が何よりも、愛しいんだ」
その言葉に刹那は眉を寄せる。
それさえも判っていたというように、ロックオンは笑う。
刹那の手をとり、ロックオンはその薬指に口付けた。
「刹那の指は、甘いな」
「気のせいだ」
「そっか」
「ロックオンの指は、くさい」
「…ひでえー」
「煩い」
刹那は顔を背ける。
その耳が真っ赤なので、ロックオンは思わず笑った。
そんな刹那が愛しくてたまらなくて。
ロックオンは、刹那を後ろから強く強く、抱きしめた。
この指も、何もかも。
彼を守るために。
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