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年が明けました。
「あけましておめでとう、ロックオン」
笑顔で現れたアレルヤに、ロックオンは苦笑した。
その笑顔は何を意味するのか。
首を傾げるアレルヤに、ロックオンは指をさす。
「遊びたいのか?アレルヤ」
「これが正月の楽しみ方だって、スメラギさんが」
「お前は洗脳されすぎだっつーの」
堪えきれずに盛大に笑うロックオン。
アレルヤの手には、羽子板やら駒やらカルタやらが握られている。
眉を寄せるアレルヤを、とりあえずロックオンは自室に招いた。
そして、とりあえず持っていたものを全てテーブルの上に置かせた。
その光景にロックオンは唖然とする。
一体どこからこれほどの量を持ってきたのだろう。
「これ、どうしたんだ?」
「通販」
「随分と現代的な」
「だって、それしか手に入らなかったからさ」
アレルヤは苦笑する。
そして、ふと手元にあった羽子板を手に取った。
「ロックオンは、羽子板できる?」
「それなりにはな」
「ふーん。僕はやったことがないなあ」
のんきに言いながら、ポンポンと玉を打つアレルヤ。
その玉がピンポン玉なのには突っ込まないことにしておく。
ロックオンは椅子に腰掛け、小さく笑った。
平和な光景だ。
とても、愛しくて。
安らげる光景。
「もう、年が明けたんだ」
「そうだね」
アレルヤも笑う。
穏やかな一年の始まりだった。
これからも、ずっと。
出来れば永遠に、こんな世界が広がっていれば良いのに。
望まずにはいられない。
それでも、自分たちには安息などなくて。
こんな些細な安息が愛しくなるほど、窮屈な世界に押し込まれている。
「あけましておめでとう、アレルヤ」
「今年もよろしく、ロックオン」
二人は笑う。
そして、不意に思いついたようにロックオンは立ち上がった。
「じゃあ、早速、乾杯といきますか」
「え?」
「新年早々、良いだろ?甘酒は生憎ないけど、ウイスキーならあるぜ」
「ロックオン…」
呆れるアレルヤに、ロックオンは笑う。
新年がきた。
幸せになれますように。
今日から、幸せになれますように。
「派手に、ぱーっといこうぜ」
どうせ、正月なんだから。
ロックオンの言葉に、アレルヤは仕方がないとグラスを手に取った。
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