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かよわきものたち。(○・アレ刹)

わかってる。
わかってる。
自分がどれだけ弱くて、卑屈で、最低なのか。
わかってる。
だから、放っておいて。
傷だらけなの。
針まみれなの。
貴方までも傷つける。
そんな自分が嫌いなの。
刹那は手を強く握りしめた。
時折訪れる弱さに負けないように、強く、強く、握りしめた。

「俺は、弱い」

だから、誰かを傷つける。
自分でさえも見失う。
そんな自分が誰よりも大嫌い。

「弱い、ね」

僕たちはなんてか弱い存在で。
なんて、未練がましい、存在で。
アレルヤは、呟いた。
何を言っているのかわからない洋楽が耳に入る。
ガラス細工を手に取り、何事もないようにアレルヤは買い物を続けた。

「弱いのは、嫌い」
「なんで?」
「死ぬから」

我が儘だから。

「自分を見失う」

そして。

「刹那なら、大丈夫だよ。僕が保証する」
「別に」
「刹那」

仕方がないんだから。
アレルヤは微笑んだ。

「どんな姿でも、心でも、君は君だよ」
「わからない」
「弱い刹那。勿論、僕も弱くて」

でも。

「そんな二人を誰よりも愛しく思うよ」

かよわきものたち。
か弱くて折れそうで棘だらけで道に迷って自分に迷って、それでも。
生きて、愛し合う。

「買い物が終わったら、キスしよう」

慰めあおう。
ううん。
そんなの言い訳。
愛してる。
キスしよう。

「嫌だ」

刹那の瞳にアレルヤは笑った。
それでも、刹那は強く、まっすぐ、愛しく、自分を見つめていたから。

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