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懐かない猫。(○・四人)

引っかかれた。
噛み付かれた。
睨まれた。
そんなの、いつもの事。
そんな中、彼が猫を連れてきた。
彼の首からぶら下がるそれに、ロックオンは固まる。

「猫?」
「…それがどうした」

視線を背けた刹那に、アレルヤが笑う。

「見事にぶら下がってるよ、刹那」
「…だから?」

こちらも見事に玉砕。
雑誌を読みながら、今度はティエリアが口を開いた。

「珍しいな」
「ああ、くっついてきた」

珍しい。
三人目にしてようやく返ってきた返事に自然と三人の視線が合う。
ロックオンは首を傾げながらも猫に近づいた。

「まあ、見事にくっついてるわなー」
「ロックオン、危ないよ」
「え?」

アレルヤの声は遅く、ロックオンの鼻に出来る三本の傷。
わかりやすい。
猫が一瞬にして引っかいたのだ。

「いてえ!」
「だから、注意したのに」
「遅いんだよ!第一、刹那も拾ってきたなら管理しろ!」
「拾ってない。ついてきた」

先ほどもそう言っただろう。
平然と返す刹那に返す言葉もないロックオン。
そんな二人にアレルヤは苦笑を零す。
ティエリアは相変わらず雑誌を読んでいたが、読み終わったのか閉じると刹那へと視線を向けた。

「でも、ここでは猫は飼えないぞ」
「仕方が無い。ついてきたんだ」
「そこがわからないんだが」
「爪が、マフラーにひっかかっている」

ロックオンが覗き込んでみれば、確かに深々と爪が刺さっていた。

「あらら、これじゃあ、しばらく離れないね」
「他人事みたいに…」
「他人事だぜー」

ケラケラと先ほどのお返しとばかりにロックオンは言う。
刹那は小さくため息をついた。
これではどちらが大人かわからない。
そんなことを思いながらも、アレルヤが猫に手を伸ばす。

「あ、引っかかれるぞ」
「いや」

ロックオンの忠告は意味が無かったようだ。
猫はおとなしくアレルヤに撫でられる。
さて、自分は何か嫌われることでもしただろうか。
真面目に考えてしまうロックオンはさておき、ティエリアが口を開いた。

「そのまま取って、逃がしてやれ」
「そうだね」

アレルヤが猫を持ち上げようとする。
しかし、途端に猫は豹変したように毛を逆立てた。
驚き、手を離してしまうアレルヤ。
呆れたように刹那が代わりに猫を抱き上げた。
すっぽりと刹那の腕の中に納まる猫。
ずいぶんと落ち着いている。

「類は友を呼ぶって言うか」
「まあ、似たもの同士?」
「そんな話じゃない」

刹那と猫の姿に三者三様の言葉が向かう。
刹那は猫を抱きしめなおす。
その顔はまんざらでもなさそうであるではないか。
それを見て、ティエリアはため息をついた。

「猫、飼うの?」
「誰がだ」
「離したくないって顔してる」
「…それは」
「あー、はいはい。飼いたいならこの俺の了解を」
「好きにしろ」

ロックオンの言葉を遮り、ティエリアはさらりとそれだけ告げた。
刹那はそれを聞くと、猫を抱き上げいそいそと退室していく。
残されたロックオンは、アレルヤに視線を向けた。

「俺、嫌われてる?」
「どうだろうね?」

クスクスと笑ってしまうアレルヤ。
どうも不憫な彼が、面白くて仕方が無かった。

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