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寂しくて。
悔しくて。
酷く、酷く、自虐的な気分に陥った。
「そんなの、昔からだろ?」
クスクスと壁に背を預けながら、ハレルヤは笑った。
アレルヤは小さくため息をつく。
自分の存在意義。
実験体として生まれた自分の、存在意義。
それを求めて、ソレスタルビーイングに入ったのかもしれない。
自分に都合の良い理由をつけたかったんだ。
「それでも、お前は何かを望むんだ」
「…ハレルヤ」
「一つじゃ足りない。ああ、あれも欲しい!なんて欲望に満ちた世界なんだろう!」
なんて、なんて。
滑稽で、素晴らしい世界なんだろう。
「なあ、アレルヤ。この世界は、なんて俺たちに不似合いなものなんだろうな」
「ハレルヤ、僕は、この世界のものじゃないなんて…」
「思ったことが無い?」
「いや、確かに、僕は、望んで存在しているんじゃないかもしれない」
「そうさ!そんなお前が作り上げたのがこの俺だからな」
ハレルヤは笑った。
甲高い笑い声。
アレルヤは言葉が無くて、ただ、悔しそうに手を握り締めた。
ああ、ハレルヤ。
君はなんて自由に生きているのだろう。
なんで僕は籠の中にいるんだろう。
「籠の中にいるのは、お前が望んだからだよ」
「え?」
「外に出る勇気がなかった。だから、俺を作ったんだろ?」
「違う、違うよ、ハレルヤ」
「じゃあ、俺の存在は何だ?」
「君は、君だ」
「お前の体をよこしてくれるのか?そうしてくれないと、俺は存在できねえぞ?」
「違う。そんな、意味で言ったんじゃない」
それでも、ハレルヤは自分ではない。
そう、言い聞かせた。
アレルヤとハレルヤは違う。
自分を支える呪文を呟き、アレルヤはくしゃりと前髪を握り締めた。
「僕は、望んで君を生み出したわけじゃ…!」
「じゃあ、なんで俺がここにいるんだろうねえ」
「それは、君が勝手に」
「弱虫のてめえが、俺を作り出したんだろ?責任転嫁もほどほどにしとけよ」
じゃないと、何をしでかすかわからない。
ハレルヤは笑う。
「良いか。お前の体は、俺の体でもあるんだよ」
「これは、僕のだ」
「俺のだ」
瞳がぶつかり合う。
お互いの意識はしっかりとしていた。
二重人格もほどほどにしとけよ。
誰かが、笑った気がした。
アレルヤは手を握り締める。
その前で、ハレルヤが笑って唇に噛み付いた。
それは自分の体でもあるわけだから、アレルヤの唇にも痛みが走る。
血が流れた。
ぽたぽたと流れる血に、過去の惨劇が蘇りアレルヤは蹲る。
そんなアレルヤを面白そうに見下ろし、ハレルヤは血に滲んだ唇で笑った。
「お前は一生、俺の籠の中なんだよ。アレルヤ」
飼われているが良い。
いや、飼われるのが、一番楽だ。
ハレルヤの残虐な笑みに、アレルヤは首を横に振った。
「それでも、それでも、僕は…」
声は、アレルヤの血に塗れた唇で塞がれた。
*ハレアレ…!面白い…!←
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