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君の視界に僕はいるのだろうか。
くだらないことを思った。
「何を見てるの?」
「別に」
刹那はぼうっと空を眺めていた。
懐かしい朝焼けが目に痛い。
ここで。
この地球上で育ったのだと実感する。
乾いた風が吹いた。
限りない夢をこの両手に掴んで。
自分は今、何を目指しているのだろう。
くだらないことを思った。
ああ、翼があれば風に乗って消えられるのに。
行き先なんて、知らない。
ただ空を見る刹那の隣で、アレルヤは微笑んだ。
「いつでも」
「え?」
「いつでも、こんな世界に居られたら良いのにね」
でも、世界は僕らを呼んでいる。
翼があっても、目指す場所は定められていて。
「いつでも、刹那の傍に居られたら」
「何がしたいんだ?」
「一緒にいるだけで幸せだよ」
夢物語を語った。
叶うことのない、夢。
戦場は安息を許さない。
それでも。
刹那は朝日を見たまま口を開く。
「今、一緒だ」
「え?」
「満足じゃないのか?」
刹那の問いに数秒考えるアレルヤ。
ああ、でも、確かに。
アレルヤは笑った。
「満足だよ」
例えここが戦場でも。
今、二人でいるという現実があるから。
「幸せだよ」
愛しい。
愛しい。
だから、幸せ。
「くだらないね」
「ああ」
クスクスと笑うアレルヤの隣で刹那も厳しい眼差しを和らげる。
ただ、こうしていられたら。
2つ並ぶ影が長く伸びていた。
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