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のらりくらり。(×・家族)

ああ、うん、と生返事。
心がなければ、言葉とも呼べない音の塊は宙に浮いて弾けた。

「こっち、見てください」
「ああ、うん」

また同じ答え。
竜崎は本を熱心に読む月の姿に頬を膨らませた。
山のように積んであったお菓子も今では萎んだように、無い。
手持ちぶさたになった。
竜崎は空に近づいたシュガーポットの蓋へと手を伸ばす。
止められた。

「体に悪いって、いつも言ってるだろ?」

ようやく言葉を聞かせてくれたと思えば、素直じゃない口は急須の様に熱く怒る。
しかし、それより返事を貰えたという事実こそが竜崎を喜ばせた。
単純なのである、隠さずとも。

「月君が構ってくれなくて、暇だったんです」
「僕はお前の暇潰しの道具じゃない」
「でも、旦那ですよ。私」
「それとこれとでは話が違うだろ。暇なら子供たちの相手をしてやれ」

リビングにプラスチック製の線路を走らせ、楽しんでいるのかわからない無表情で遊ぶニア。
隣では、網目を潜るようにその中心に陣取ったメロがゲームをしながらチョコを食べている。
月の言いたいことに、竜崎はあからさまに眉を寄せた。

「月君と遊びたいです」
「お前が子供になってどうする。子供たちの相手ぐらいできるだろ?」
「素直じゃなくて可愛くありませんし、第一月君に似てません」

元も子もないような台詞を言う竜崎に、月は読んでいた本を閉じた。
遊んでくれるのかと、正しく子供のように楽しげにする竜崎を尻目に月は席を立つ。

「じゃあ、僕が遊ぶからそっち宜しく」
「…は?」

固まる竜崎を放置し、二人の子供は喜んだ。

「月も一緒!?」
「賢明な判断です。流石、月さん」

満面の笑顔のメロと、無表情ながらも嬉しそうなニアに手をひかれ月は子供たちの輪に入る。
残された竜崎は、机に置かれたままの献立表を見て凍りついた。
料理なんて、と言いたいが口を開けない雰囲気を漂わせる三人に竜崎は影で涙し、バレないようにワタリへと連絡を入れる。
しかし、三人にその行為がお見通しだったのは言うまでもない。

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