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どんな不甲斐ないことでも良い。
確証なんて要らない。
必要なのは、現実である。
「ティエリア、誕生日なんだって?」
「知らないな」
「うん。なんとなく」
そうなんじゃないかなあ。
曖昧な笑顔でアレルヤは笑った。
瞳に宿る意思の光は増していた。
それでも彼は彼なのだと頼りない表情が更に情けなく眉を下げる。
思わず叱り正したくなったが、ティエリアは時間の無駄だと判断した。
「誕生日、嬉しくないの?」
黙りを決め込んだティエリアにアレルヤは聞く。
ティエリアは、無意識に口を開いていた。
「感覚がわからない」
「え?」
アレルヤの反応から自分の言動を理解するティエリア。
ティエリアは、然り気無く続けた。
「誕生日なんて、知らない」
「知らない、じゃなくて、知らなかった、にすれば?」
「何が変わる?」
「今日からなら、僕が祝ってあげられるよ」
「俺が無関心でも?」
「いつか興味持つって」
笑う。
アレルヤの笑顔にティエリアは仕方がないと肩を落とした。
何故か胸が温かくなる。
不思議な感覚であった。
ティエリアの思考を除外し、アレルヤは嬉しそうに言った。
「お誕生おめでとう、ティエリア。好きだよ」
「最後のは余計だな」
「誕生日は嬉しいんだ」
「…答える価値がない」
それきり、アレルヤに背を向けてしまうティエリア。
強がりだと知っている。
アレルヤは笑い、ティエリアを後ろから抱き締めた。
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